MDは役立たず?
- カテゴリ:
- 02社会・政治 激辛コラム
今月ミサイル防衛の実験がハワイ沖であり、一応成功した。手放しで喜んでいる人たちもいるがこれ、日本の本土防衛には無用の長物ではないか? 本来このシステムはロシア、中国、イラン、北朝鮮等の弾道ミサイルからアメリカ本土を防衛するのが主目的だ。それをあたかも日本の本土防衛にも使えるような宣伝をして開発費の一部を日本から引き出そうとしてるのがアメリカの真の狙いのような気がする。
以下「自衛隊vs特定アジア」誌より抜粋要約。
*** このミサイル防衛のシステムはまず発射後の弾道ミサイルが上昇から下降に転じて速度が低下したところを海上発射型のミサイルで迎撃する。それが失敗したときに備えて、地上発射型のミサイルで迎撃する二段構えの戦法である。
ここで問題なのは北朝鮮が発射する弾道ミサイルとこの迎撃システムが本当にマッチしているかである。長距離型のテポドン2は発射してから米国に達するまで約20分あるという。このMDシステムのリアクションタイムを考えれば十分対処可能だ。しかし射程が千キロ前後というノドン改良型の場合は発射から日本への着弾まで約10分と短い。この時間では洋上での迎撃は難しく実際には着弾寸前での対処になることは目に見えている。で、日本に導入される地上迎撃型のパトリオットPAC−3は一発での守備範囲が20〜30Kmと狭く広範囲に防衛するには膨大な数を配備せねばならない。
こうした現実は以前から指摘されているが政府も自衛隊もまともに答えていない。日本海を越えて飛ぶ、つまり海上発射型のSM−3でインターセプトが可能な敵ミサイルは飛翔コースから想定すると行き先はアメリカ。あくまでもアメリカ本土防衛のためのシステムである。
日本を標的にするミサイルで明らかに脅威なのはテポドンではなく射程の短いノドン改良型である。これに核弾頭、生物兵器、化学兵器等が搭載されていれば着弾による被害は甚大になるためこれをなんとしても防がねばならないが現状では残念ながら不可能である。その理由はミサイルの発射を探知しても着弾地域をすぐさま把握することが難しいことと仮に着弾地が判明してもわずか10分で住民を避難誘導するのは不可能だからである。
以上より現実的対処法はニつしかない。一つは着弾後のすみやかな救助体制づくりだ。仮に核や化学・生物兵器を搭載している場合でも被災者の救援活動を行い、必要に応じて除染活動を行う。日本各地のどこでも即座にそういう行動を起こせるように日頃から準備をする。政府・自衛隊だけでなく政府関係機関・地方自治体を含めてスムーズに連携できるようにしておく必要がある。年に一回ぐらいの訓練では話にならない。
選択肢の二つ目は北朝鮮のミサイルサイトを監視し、発射の兆候が見えた場合に先制攻撃で叩く積極的防御だ。ただこれは憲法との兼ね合いや攻撃判断のタイミング等多くの課題がある。それに技術的には自衛隊が海を越えて敵ミサイル基地を攻撃するのは可能だが装備体系的には難しい。
まず自衛隊には敵基地を直接叩ける遠距離地対地ミサイルが無い。これは日本の専守防衛という基本政策に関することなので簡単に装備するというわけにはいかない。そこで自衛隊が持つ兵器で敵ミサイル基地を叩く現実的選択肢としては作戦機にF2という対地支援戦闘機を使い、哨戒機P3−Cが搭載する国産の対艦ミサイルを流用するしかない。
*** 以上引用終わり
確かにこの指摘どおり現実的対処法は限られているだろうな。特に着弾後の救助体制づくりは日本がもっとも苦手としている分野だ。今の縦割り行政では難しい。そろそろ非現実的なことを叫ぶエセ平和主義者を含めて日本人全体で現実を見据えた防衛を考える必要があると思う。そうでないと日本防衛には意味の無い現行MDに今後我々の血税を何兆円も吸い取られて終わりになりかねない。