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081130  今年10月から来年3月までに失業したり失業する非正規労働者の数が3万人を越すという厚労省の調査が発表された。また始まったか。

 前回のバブル崩壊後の不況で吹き荒れたリストラの嵐は主に正規社員を中心としたもので結果企業は筋肉質になったが社会・人心は荒れた。今回は派遣労働者・期間従業員・パートが中心でまさに「雇用の調整弁」としての立場が鮮明に出た格好だ。このリストラの嵐はいずれ正社員にまで及んでくるだろう。さらに今回は新卒大卒者の内定まで平気で取り消す企業が続出し始めた。さすがにこれはひどい。新しく社会に出て行こうとする若者まで無残に切り捨てるとは。

 そうは言っても「企業存続のためには止むを得ない、潰れたらそれこそ元も子もないでしょ」という声もあろう。生まれながら生存権を持つ「個人」に対して個人の集合体である企業も生存権を持つ「法人」とする概念が存在する。しかし権利を持つということは義務も負う。雇用を維持し、社会に対して貢献するという義務が。その観点からいうと責任を放棄してあまりに安直な雇用削減に走るのはやはりおかしい。

 最近滋賀県で鶏の首が置かれている事件が頻発しているそうだ。滋賀県の役人がブラジル人女性の通訳に尋ねたところどうやらブラジルのある宗教の儀式らしく、母国でもその宗教は異端視されていると言う。派遣労働者の中には慣習の違う外国人も多くいる。これらの人々が即犯罪に走ると言うつもりはないが雇用の不安が撒き散らす不満は社会を、人々の心を確実に蝕んでいく。あのアキバで起こった無差別殺人や今回の元厚労省事務次官殺人の根っこにはそれがある。決して個人の資質だけで片付けられるものではなかろう。今後日本でも諸外国のようなテロが頻発する土壌が育ちつつあるのかもしれない。

 非正規労働者の増大を招いた労働者派遣法の改正も国会で立ち往生したままだ。企業だけならず政治の責任も大きい。