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 最近京都観光は絶好調だそうだ。書店に行っても京都特集の雑誌や本やらが溢れかえっている。雅な京都は日本人の憧れなのである。京都に住む人間の一人としてはやはり誇らしい。しかしながら「雅な」と書いたが普通の京都人にとっては京都は雅でもなんでもないただの生活の場でしかない。

 今だからこそ明かされる衝撃の事実! 実は「雅」とは京都が生き残るためにしかけた世界最大の詐欺なのである。明治維新で天皇が東京へ行ってしまった。お公家さんも明治維新に活躍した政治家たちもそれについて東京へ転勤してしまった。その時京都はかつて平城京だった奈良のように一気に地方都市のひとつに落ちてしまったのだ。そこに危機感を抱いた京都の知識人たちは近代化と同時に文化・歴史を強調したのだ。近代化は琵琶湖から疎水を引き、日本初の水力発電をし、これまた日本初の市電を走らせた。そして文化・学問では1100年の歴史を強調した。明治政府も日本が近代国家として西欧列強に伍していくために西欧に劣らない歴史と文化を持っていることを強調するため京都を副都としてさまざまな投資をしたり大掛かりな装置を作った。平安遷都の頃の大内裏を模して造営された平安神宮はその装置として最たるものだ。

 確かによーく考えたら今の京都の有名な神社仏閣などは創建こそ平安時代でも室町時代以降に建てかえられたものが多い。それさえ幾多に渡る戦火で焼け落ち江戸時代以降に再建されたものもある。更に京都の伝統工芸だってほとんどが江戸時代に確立され、産業として成り立つようになったのは明治時代以降である。1200年の歴史と言ってもそれは始まりであって近年のものが多いのが実態だ。千年の歴史は幻想なのだ。
 すなわち京都の生き残り策としてのキーワードが「雅」なのである。皆これにだまされ京都は「千年の歴史を持つ雅な文化都市」だと思い込んでいるのである。 どうだ? まさしく世界最大の詐欺ではないか? [E:smile] でもま、それにだまされてるのもけっして悪くはないと思うぞ。文化というものは何世代にも渡って紡がれていく。目の前に建っている神社仏閣がたとえ江戸時代に再建されたものでもそこにある精神は紛れも無く平安時代からのものなのだから。
 
 たかだか建国220年程度の歴史しか持たないアメリカ人なんかそんな歴史を持つ日本人が羨ましくてしょうがないのだ。

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